ユビキタスIDとは

ユビキタスID

生活や社会の至るところにコンピュータが存在し、それらが相互に連動し、より高度な情報サービスや環境の制御を提供する情報技術、それがユビキタス・コンピューティングです。

トロンプロジェクトでは、HFDS ( Highly Functionally Distributed System ) と呼ばれるコンピュータがネットワークを通じて協調動作する世界を目指しています。より簡潔なキャッチフレーズとして「どこでもコンピュータ」とも呼んでいます。小型化されたコンピュータがあらゆるモノや場所に組込まれ、我々ユーザーはその存在を意識することなく利用できる環境として、まさにこのユビキタス・コンピューティング環境の概念を世界に先駆けて提唱してきました。

ユビキタス・コンピューティングの空間では、ネットワークで結ばれた無数のコンピュータが、人やモノの位置や属性、場所、温度、湿度といったさまざまな状況を確認し、最適な制御を行います。

この概念の実現に大きく貢献するのが、高度な組込みシステムを効率よく開発するための標準プラットフォーム「T-Engine」の技術と、RFIDタグ(無線ICタグ)などに付与する識別コード(ucode)の体系化により来たるべきIT社会のインフラとして多様な応用を目指すユビキタスIDの技術です。

ユビキタスID技術の応用例

ユビキタスIDにより、あらゆる人やモノ、位置や場所などが区別され、それらの差異に応じた最適な制御が実現できます。たとえば:

  • 薬を飲むとき、薬ビンに超小型チップがついていると、コンピュータが薬ビンを認識し、正しい飲み方をおしえてくれたり、誤った飲み合わせをしようとすると注意をうながす。
  • コンピュータが組込まれた冷蔵庫が、中に入っているチップが付いた食品の情報を読み取り、賞味期限をおしえてくれる。
  • 街の道路や標札に埋めこまれたチップの情報を読み取ることで道案内や近くのお店の情報を入手できる。

上記のように、個体差や周囲の状況を認識したり、位置情報や温度、湿度など周囲の物理環境を把握し、それに適した制御を行う技術を「コンテキスト・アウェアネス」と呼んでいます。これは、ユビキタスIDを実現するために必要となる重要な技術の一つです。